ヴァイスホルン登山とツェルマット周辺ハイキング(2006年夏)

ヴァイスホルン登頂(たぬ)(2006年8月 2日)

ヴァイスホルン山頂の十字架

ヴァイスホルン山頂の十字架

8月2日
2時起床。パンとコーヒージャム、チーズの朝食を食べて2時35分しっかり靴紐を結んで出発する。

夜冷えたようで、雪のところがしっかり締まっていて歩きやすい。前回クランポンを付けた場所でも付けずに歩くことができる。

歩き始めてから100分のチェック場所があるようで、そこを45分で通過する。良いペースだとガイドに言われる。
自分でも雪が硬く締まっていたので、これなら大丈夫!今回は登れるな、うれしい!と思いながら歩き続ける。

しかし、岩登りが始まってしばらくすると岩に雪が積もっている。岩も凍っていて、とても冷たく手袋を付けずに岩を触ると皮膚が岩にくっついて皮がむけてしまう程だ。

そのため、あまり早いペースとは言えなくなる。 3時間登るとで朝食場のはずなのにまだかなー? もう3時間過ぎているけど大丈夫かなー違うルートを通っているのかしら? と不安になりながら登り続ける。ガイドは機嫌よく、朝焼けがきれいだーと写真を撮りながら登っている。
私もきれいなのでもっと写真を撮りたいが気温が低すぎて、バッテリーが消耗している。表示誤りかもしれないが残量が少ないとサインが出ている。頂上で撮れないのは悲しいので、最小限にする。ガイドは楽しく撮っていたが途中で、カメラが壊れたと言った。

朝食場に6時12分に到着する。前回の時間を覚えていないが 太陽の位置と明るさを考えると遅い気がするがガイドは今の登り方よいよ。と機嫌よく声をかけてくれる。しばらく休憩するが気温が低いのですぐに冷えてくる。
ここから先はは馬の背。雪がついているので、前回よりもより慎重に登る。
ガイドもしっかり確保をして進む。

景色がとても素晴らしく気持ちが良い。雲海とその上にすばらしい山々が連なっている。なんて幸せなんだろう。

馬の背終了。前回引き換えしたところで時計は8時30分を表示している。雪が付いているので時間がかかってしまった。前回は7時30分だったので1時間も余分にかかっている。
ガイドの機嫌はとてもよいが、いつ引き返すと言い出すかとびくびくしていると、 ここでクランポンを付けるといってくださる。アンビリーバボー! ヤッホー!ありがとう!

幸せな気持ちで、お茶を飲み、写真を撮りクランポンを付ける。 気がつくと時計を落としていた、腕につけていた時計を落として気が付かないなんてびっくりする。
ドイツ人の二人組は私の少し前を登っている。

スロベニアの6人組は4人は引き返したようで2人組みが私の少し後ろを登ってきている。

雪陵歩きが始まる。ここからは始めての道だ。 かなり急なのでぎざぎざに歩いて斜度を少なくして登るがスピードが落ちてきた。 途中でスロベニアの2人に抜かされる。
途中でガイドがにっこりして頂上を指差し、あそこがフィニッシュだよと言ってくれるが、あそこがフィニッシュだけど、あなたはここがフィニッシュね。と言わないかどきどき緊張してしまう。 足がとても重いが頑張って歩く。

最後はまた岩場。岩場は好きなので頑張って登る。しかし、雪が少し積もっているので慎重に。
途中で、頂上から降りてきたドイツ人の2人とすれ違う。コングラチュレーションといって親指をぐっと立てて挨拶してくれる。あーこれで登れたなーとおなかの底から嬉しさがこみ上げてくる。
もうひと上りして、10時55分に頂上に到着する。頂上のすぐしたにはスロベニア人が休憩していた。
景色はすばらしい。登る前からガイドブックにとても褒めて書かれていたので景色は良いのを想像していたが想像以上にすばらしく美しかった。360度の大パノラマ。頂上の向こうにモンブラン、左にマッターホルン、右後方にドム、左後方にモンテローザ、リスカム、ブライトホルン、、、、アルプスの主役たちがずらずらと並んでいる。頂上の写真を撮り、しばらく休憩して下山する。

頂上直下の岩場は2回の懸垂下降でほとんど降りてしまう。

雪稜は急なので、ここで転んだらすぐに転がってしまいそうなので 慎重にアイスピックを刺し、足を運ぶ。

馬の背を下り始める。

ガイドが岩にザイルを引っ掛けながら降りるように指示を出す。
前回のときも言われたがそのときはあまりやらなかったが、今回は雪ですべるとガイドが確保してくれているので下まで落ちることはないが、岩にぶつかってしまう。雪で足を滑らせてしまう確率が高いので、時間がかかるが慎重に岩にザイルを掛けながら降りる。

下りは得意だし、いつも下りで時間を短縮する自信があったが、今回は雪がついているのと疲れとで時間が短縮できない。慎重に下り続ける。
朝食場の下からは、単調な下りが続く。岩場の後半は疲れでだんだん頭がボーっとしてきて、踏み跡のあるルートと踏み跡のない岩場の区別がつかなくなってきて、ガイドにライト、レフトと指示されながら下りる。下る一方で上りがないのが救いだ。

最後の雪稜はもうふらふらで、すぐに転んでしまう。
ガイドがアイスピックを雪に刺して確保し、懸垂下降の要領で2回下のほうまで下ろしてもらう。
最後は尻ぞりで降りるかと思ったが、ガイドも疲れていたようで引っ張らない。
でも、歩いて降りる元気がないので、自分でお尻をついて足でこぎこぎしながら滑らせて下ったり、頑張って歩いたりしながら下り続ける。
なんと小屋到着は18時30分。16時間の山行でした。ガイドのホルツナーさま、あなたのおかげです。ありがとうございました。

ヴァイスホルンヒュッテでゆっくり食事をして帰りたいところだが、時間がない。連絡がなく心配しているであろうTADAにまず電話をして、荷物を片付け、ガイドの紅茶を頼み、小屋にお金を払い、挨拶をして荷物の整理をして急いで下る。
足が重く、コースタイムが縮まらないので20時過ぎのの最終のランダ発の電車には間に合わず、21時過ぎのバスに乗りでテッシュで鉄道に乗り換えることにする。

ヴァイスホルンヒュッテからランダへの道は夕方なので、マーモット、鳥(鷹)、を一回、鹿を何度も見た。
ランダ駅に20時50分に着く。暗くなり始めていた。とにかく疲れた。残りのチョコレートとバナナ2本を食べる。
今日一日あんなに歩いていたのに、朝パン4枚、インスタントコーヒー2杯、行動食3袋、お茶700cc、チョコレート1枚半しか食べていなかった。(少しのエネルギーでたくさん行動したのでこの後急に太りやすい体質になった気がする。)

とにかく疲れた。

テッシュの駅に着くと、TAKUを抱いたTADAとNAOMIの姿がある。まさか?疲れて妄想?びっくりしてバスを降りると本物だった。TAKUは泣いて抱っこーと言うかと思ったがTADAに抱かれたままなので驚く。すね坊主なのですねたのかもしれないが状況が理解できていない様子だ。でもほっとしていた。

疲れた体を引きずって宿に帰る。

ヴァイスホルンを登っての感想は、大きな山だった。初めの雪渓は特に難しくもなく次の岩場も朝食場までは難しくない。しかし、朝食場より上は馬の背の岩場が続く、岩の大きさはマッターホルンと比べると大きくはないが両側が切れているので高度感があり、バランスを崩すとしがみつくところがないので慎重にならざるを得ず神経が疲れる。、馬の背の上の雪渓は斜度が急なので、ジグザグに進んでも登るのがつらい。下りも、上の雪渓は急すぎて転がり落ちそうで下りも慎重に足を進めなければいけない。馬の背も同様に慎重に下らなくてはならない。朝食場に着くころにはころには私にしては長時間慎重に行動を続けたために、頭が疲れてしまい、難しくない岩場だが、右に進めばいいのか左に進めばいいのか、ルートの踏み跡などで判断すべきがもう、判断できなくなっていた。最後の雪渓は、時間が遅くなったせいもあり、緩んでいて足を運ぶのが大変だった。
村から、ロープウェーなどを使わずにすべて自分の足だけで高度を上げるので、自分で全部登った!と言う満足感が大きい。
最後に、景色が素晴らしい。角度がどの展望台とも違っているのでとても新鮮だし、美しい。

登山!を楽しめた。これこそ登山。と言う感じかな?
モンブラン登山は縦走ルートだったせいもあり、天国のハイキングコース(最後のおわん上りはしんどかったけど)と言う感じ。
マッターホルンは混んでいるので、岩登りの競争。下りは懸垂下降でアドベンチャー遊び。
ユングフラウは雪山の登山。
アイガーは登山の楽しさの凝縮。スリルと爽快な景色。下りはというより帰り道は何度も上がって下っての繰り返しで疲れるけどね。

TADAの強い勧めと、ホルツナーというガイドを手配してくださったリリーさんと、ホルツナーとかわいい2人の子供たちのおかげで登れて本当に良かった。みなさんありがとうございました。

ヴァイスホルン頂上まで

朝食場に6時12分に到着する。前回より明るいからきっと前回より遅くなってしまっただろう。後で前回の記録を見ると5時45分に到着していた。今回は、岩に雪が乗っているので慎重に足を運ぶためかなり時間がオーバーしてしまった。
それなのに、ガイドは機嫌よく登り続けている。あー頂上まで連れて行ってくれるかしら?でも今の段階で前回より時間がかかっていて、これからも雪が岩についている状況は変わらないからより時間がかかるだろう。また引き返すことになるのかしら?下手な考え休むに足らず、考えずに登れると信じてがんばろう。

雲海が美しい。

雪が積もっていて、前回のときは黒かった山も白くなっている。

気温が低く、すぐに寒くなってきたのでガイドは手を振り振りして暖めていた。

朝焼けで赤くなった。

マッターホルンやモンテローザも美しい。
朝食場から先のルートは馬の背だ。慎重にがんばろう。

前回引き返した場所に8時30分に到着する。岩場が終わって、この先は雪稜歩きだ。

前回より1時間もタイムオーバーだ。しかし、ガイドのホルツナーは私にクランポン付けるように指示した。ありがとう。
少し前をドイツ人の二人組が登っている。

相変わらず気温は低いが、景色は最高だ!
青空の下に4000m級の山々が連なり、その下に雲海が広がっている。

ルートには雪がたくさん残っている。

ヴァイスホルン登頂

10時55分、ヴァイスホルン頂上到着。ホルツナー、TADA、NAOMI、TAKUTAKUみんなありがとうございます。

マッターホルンはどの角度から見ても格好いいなー。3年前ぎりぎりマッターホルンに登れたおかげで、今日ここに立つことができた。

リスカム、カストール、ポルックス、ブライトホルンのつながりが美しい。
リスカムも登ってみたいなー。

モンテローザ

左からドム(4545m)、テッシュホルン(4490m)、アルプフーベル(4206m)と氷河が美しい。

ドムとテッシュホルンのアップ。

頂上の十字架にはツララが付いていた。

雲の合間から村が見える。

ダン・ブランシュ(4356m)

モンブランもくっきり見える。

休憩するガイドのホルツナー。カメラが壊れて写真が撮れないのでがっかりしている。

アルプス三大北壁のひとつ、マッターホルンの北壁がはっきりとみえる。

クリスチャンじゃないのでいつもは十字架を見てもなんとも思わないが、今はこの十字架を眺めてとても幸せな気持ちになる。記念撮影カシャ!。

雪がたくさん積もっている。

ガイドに写真を送ってあげることにした。

山々のつながりが美しい。

ヴァイスホルン頂上からの下山

頂上で10分くらい楽しんだ後、下り始める。

12時30分、雪稜が終わってクランポンをはずす。スロベニアの二人に追いついた。

これから先のルート。馬の背だし、岩に雪が付いているので慎重に。

頂上を振り返る。

私は懸垂下降で下ろしてもらって、ガイドが降りてくるのを待つ。

頂上が見える。

面白い形の岩。

朝はこの岩を登ったんだーと思いながらホルツナーを待つ。

陽が当たらないところには雪がたくさん残っている。

ずいぶん下ってきたから、ドムとターシュホルンの角度が変わってきた。

ルートにたくさん雪が残っている。

綿菓子のような雲だ。

13時40分

16時30分、ひたすら下りる。

岩が大きい。

ずいぶん下ってきた。しかしまだまだ先は長い。時計を失ったので時間はわからないが影が長くなってきた。後で写真から時間を判断すると16時30分だった。

18時25分、ふらふらだがヴァイスホルンヒュッテに到着する。スロベニアの途中で引き返した4人が帰ってこない2人を心配して、どうなっているか私に尋ねてきた。彼らも疲れていて途中で休憩していたのでそのことを伝えた。

ありがとうホルツナー。ここでザイルをはずす。

ヴァイスホルンヒュッテのおじさんに写真を撮ってもらう。

20時55分にやっとテッシュの駅に到着。長い長い一日だ。

TADAとNAOMIとTAKUがテッシュ駅に迎えに来てくれる。ありがとう

NAOMIはママおめでとう。とニッコリして祝ってくれる。

TAKUはいつもならニッコリと抱っこーと言ってくるのが、拗ねているのかパパに抱かれたままだった。眠たくてパパの抱っこで眠っていった。こんなのは初めてだ。

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コメント(2)

青空山岳会 :

初めてコメントさせていただきます。

登頂おめでとうございました!。ヴァイスホルンの登頂は日本人の女性の方では珍しいのではないでしょうか?。ましてやご夫婦揃ってでは。短期間でリベンジされたモチベーションには本当に頭が下がります。ガイドさんも大当たりで良かったですね。

私もこの憧れの山に04年、05年と登りにいきましたが、大雪の影響で2回とも予約すら出来ませんでした。来年また登りにいく予定です。登攀部分はもちろんのこと、山小屋までのアプローチの情報もとても役に立ちそうです。貴重な情報ありがとうございました。

尚、残念ながら私のPCではこのレポの写真が一部しか表示されません。解決方法がありましたら、教えて下さい。

青空山岳会様、たぬたぬのホームページの管理人のたぬたぬです。
ホームページへのご訪問とコメントの書き込みありがとうございました。
ご指摘いただきました写真が表示されないのは当方の設定・作業ミスで先ほど修正いたしました。
お手数ですがもう一度お試しくださいますようお願いします。

シーズンが本格化する前にと先週急いでアップしたばかりなので他にも読みにくかったり、
写真と文章が一部重なっているなど見苦しいところも多々ありますが、順次直していきます。
ご指摘ありがとうございました。
他にも重大なミスや表示不能箇所があれば教えていただければ幸いです。

2回とも大雪とは残念でしたが、次回の機会に青空山岳会様がヴァイスホルンに登れることを願っております。