ロンメル装甲師団1941

シナリオ4「支援作戦」連合軍(1997年5月10日)

戦闘序列

連合軍部隊組織

 第30軍団──第7機甲師団──第7機甲旅団

                      ──第22機甲旅団

                      ──第7支援集団

          ──────────第4機甲旅団

          ──────────第22機械化旅団

         ──第1南アフリカ師団

>枢軸軍部隊組織

 アフリカ装甲集団──アフリカ軍団──第15装甲師団──第8連隊

                                        ──第115連隊

            ──イタリア第21軍団──第17パヴィア師団

            ──イタリア第20軍団──第132アリエテ師団──第8連隊

作戦構想

このシナリオは「クルーセイダー作戦」初期攻勢の第7機甲師団を主力とした連合軍のトブルクへと向かう北上攻勢を扱っている。しかし、シナリオ3ほどは連合軍は有利な立場にはない。連合軍の第7機甲師団は強力であるが、第1南アフリカ師団はシナリオ1と同様で弱体である。また枢軸軍の戦力は当初のイタリア軍2個師団に加えて第15装甲師団が登場する。

連合軍は勝利するためには、スタート時に枢軸軍が保有している重要拠点のうち2ヶ所は奪わないと苦しい。ガンブットについては枢軸軍の配置されている兵力が第22機甲旅団を使って占領することが可能であろう。しかし、注意すべきは援軍として登場するドイツ第15装甲師団である。この師団がガンブット奪回のために投入された場合、ガンブットの保持は厳しくなる。よって連合軍はその場合はシディ・レゼクとビル・エル・グビを奪取する必要がある。ドイツ装甲師団のいない戦線で勝利するのである。

シディ・レゼクは南からの正面攻撃で陥落させるのは難しい。しかし、第17パヴィア師団とこの方面に出現するかもしれない第15装甲師団を南の断崖を通ってエル・グデナット方面へ南下させるわけにはいかない。よって第7支援集団と第7機甲師団直属の部隊を派遣し、できうればシディ・レゼクの占拠、悪くても枢軸軍の南下の阻止を行わせる。第7機甲師団の機甲2個旅団と増援の第22機械化旅団、および第1南アフリカ師団はビル・エル・グビ攻略にあたらせる。シナリオ1よりは2個旅団多いの兵力をこの方面に投入することでビル・エル・グビの占領と第132アリエテ師団の壊滅を目指す。具体的にはビル・エル・グビ~エルグデナットを結ぶ線より南は第1南アフリカ師団の担当戦域とし、戦線を張って陣地を構築させるだけで攻勢は行わない。これは同師団が攻勢兵力としては役に立たないためであり、「標準」あるいは「防御」の補給のみを与えて物資を節約し、敵兵力を少しでも多く吸引してもらう。そして残りの北部正面に3個旅団と全航空支援と砲兵を投入して西に突破してビル・エル・グビを攻略し、第132アリエテ師団主力を北方の枢軸軍と切り離し第1南アフリカ師団と挟み込んで撃滅する。以上のような作戦構想をたてた。

11月19日

補給レベルは第4・7・22機甲旅団と第7支援集団・第7機甲師団は「攻撃」、残りは「標準」。

第1ターン

第4機甲旅団は急速に北上したがガンブット南の断崖でドイツ軍の強力な重対空砲大隊に阻止されてしまった。機甲部隊がこの部隊を攻撃するのは自殺行為に近い。ガンブット南西の断崖を念のために確保しようと向かわせた部隊もイタリア軍の対戦車砲中隊に進路をふさがれてしまった。第7支援集団は大胆な戦略移動を行ってシディ・レゼクの占領に成功した。これは意外な戦果だった。しかし、第17 パヴィア師団のかなりの大部隊が集結しつつあり、これ以上この方面に戦力を割く余裕のない連合軍としては質でこそ勝っているものの量で圧倒的な劣勢の状態でシディ・レゼクを少しでも長く確保せねばならない。

ビル・エル・グビ戦線では、第1南アフリカ師団が計画どおりに敵と接触せずに戦線を張りつつ展開した。北部から攻撃する2個機甲旅団は2ヶ所で敵と接触した。司令部の部隊はエルグデナット付近で補給路と第7支援集団との連絡確保のための配置についた。ゴット将軍は第7機甲旅団の指揮をとっている。第22機械化旅団は後方から前線へ向けて移動を開始した。

第2ターン

第4機甲旅団は、88ミリ砲に突っ込むのは自殺行為であると判断。南西の断崖を突破目標にしてイタリア軍の対戦車砲中隊を攻撃した。予想以上に高い戦力比によってこれを全滅させて一気に突破してガンブットに3ヘクスと迫った。シディ・レゼク周辺の部隊は、第7機甲師団直属の部隊などを周辺に展開させ、時間稼ぎのため、反攻に備えて緩衝地帯を確保するとともに陣地構築を開始する。ビル・エル・グビ方面では、第1南アフリカ師団が部隊の展開をほぼ完了して陣地構築を開始した。一方で第7機甲師団は2ヶ所で攻撃を行い、イタリア軍を撃破しつつ前進した。ビル・エル・グビまであと6ヘクス。

第3ターン

第4機甲旅団は、ガンブットに隣接し、これを包囲することに成功した。敵はアフリカ装甲集団司令部のみであり、陣地もない。占領は時間の問題である。シディ・レゼク方面は動きはない。第7機甲師団主力は、攻撃を続けてビル・エル・グビまであと5ヘクスと迫った。

第4ターン~第6ターン

夜間のターンになったこともあり、連合軍は小規模な再配置をビル・エル・グビ前面で行ったのみで特に行動は行わなかった。枢軸軍は、ビル・エル・グビの南方に配置した戦力を北方にスイングしているようである。これは非常にまずい事態だ。もっとも連合軍には対処の仕様がないのだが。

11月20日

補給レベルは、第30軍団と第1南アフリカ師団は「標準」。残りは「攻撃」

第7ターン

第4機甲旅団はガンブットを攻撃してアフリカ装甲集団司令部を追い出し、これを陥落させる。第7支援集団はひたすら防衛と陣地構築に努めた。第7機甲師団は2ヶ所で攻撃を行い、ビル・エル・グビまであと4ヘクスと迫った。

第8ターン

第4機甲旅団は西方シディ・レゼク方面からの奪回作戦を警戒して陣地構築を行おうとしたが、ガンブット北方にいきなり大部隊が出現した。ドイツ第15装甲師団と推定される。少しでも長くガンブットを保持せねばならない。ビル・エル・グビ北方ではこのターンより第22機械化旅団も攻撃に参加し、一挙に3ヶ所で攻撃を行い、ビル・エル・グビまであと3ヘクスと迫った。

第9ターン

ドイツ第15装甲師団は、第115連隊をガンブット奪回に向けてきた。岩場や断崖という地形の助けもあるので陣地なしでもこの程度の戦力ならば支えられそうだ。唯一の不安は南方への補給線を断たれることであるが、補給線維持の部隊を派遣する余裕はない。第15装甲師団の第8連隊はシディ・レゼク方面に向かったと推定される。連合軍は枢軸軍と接していて陣地が構築できないシディ・レゼクの周りのヘクスには時間稼ぎのダミー部隊のみを配置し、第7支援集団はシディ・レゼクとその南方の陣地にこもって死守する態勢をとった。

第10ターン~第12ターン

連合軍はほとんど動かなかったが、枢軸軍はシディ・レゼク方面で切り札ともいえる装甲部隊の第8連隊の全力を投入して夜間攻撃を実施し、ダミー部隊をあっさりと全滅させてシディ・レゼクに隣接してきた。しかし、この行動はかなりの疲労と混乱を伴ったはずで21日昼間の戦闘能力は大幅に低下することだろう。なにもこんな主力を投入して疲労させなくてもダミーなど第17パヴィア師団の部隊でも十分排除できるのに‥‥‥。これは枢軸軍の失策といえるだろう。

11月21日

補給レベルは全て「攻撃」

第13ターン

もはや、連合軍はビル・エル・グビ方面を除いて全面的な守勢である。そのビル・エル・グビ方面もビル・エル・グビに近づくにつれて突出部北方側面からの圧力が気にかかってきた。シディ・レゼクではさらに1ヘクスのダミー部隊が撃破され、2ヘクスから攻撃を受ける情勢になった。

第14ターン

第7機甲師団はビル・エル・グビから2ヘクスの距離にまで進出した。前面の第132 アリエテ師団の部隊は連合軍の猛攻により大損害を受け、疲労と混乱も著しいようだ。このターンにはシディ・レゼクの周りの最後のダミー部隊も排除され、シディ・レゼクは三方から枢軸軍に隣接されてしまった。

第15ターン

第7機甲師団は3個のイタリア軍部隊を壊滅させ、ビル・エル・グビに二方向から隣接することに成功した。シディ・レゼクに対する枢軸軍の強襲がついに始まったが、戦力比は2.5しか立たず、連合軍はこれを撃退することに成功した。シディ・レゼクの陣地は6スタック分であり、防衛部隊は自動車化歩兵大隊1・軽対空砲大隊1・自動車化対戦車砲中隊3である。敵の攻撃兵力は装甲大隊2・歩兵大隊1・工兵大隊1・重対空自走砲大隊2である。どうやら敵はロンメル自らが指揮をとっているようだ。

第16ターン~第18ターン

連合軍は第7機甲師団の前進に伴い、エルグデナット付近に展開する砲兵部隊の支援が届きにくくなったので夜間の間に前進させた。また夜間の移動でビル・エル・グビに対して22日に三方向から攻撃をすべく、部隊の再配置を行った。しかし、第7機甲師団の前進に伴ってできた突出部の北方には、イタリア第20軍団直属の部隊と思われるかなりの規模の部隊が集結しつつあり、その圧力は強まる一方である。現在は司令部の部隊で戦線を張っているが、いずれ支えられなくなりそうなので早く戦線後方に入り込んだ部隊を掃討している第22機械化旅団を任務から解放して側面を固める必要がある。ガンブット方面では恐れていたことが発生した。ドイツ軍のダミーと思われる部隊が南方との連絡を遮断したのだ。補給線を遮断されたことにより第4機甲旅団は危機に陥った。

11月22日

補給レベルは第4機甲旅団のみ「防御」。残りは「攻撃」

第19ターン

第7機甲師団は、ビル・エル・グビの周りからイタリア軍を排除し、四方から包囲することに成功した。シディ・レゼクも敵の攻撃を支えている。

第20ターン

第7機甲師団はビル・エル・グビを総攻撃したが占領することはできなかった。しかし、防衛部隊は大損害を受けて弱体化しており、次ターンでの陥落はほぼ確実である。第4機甲旅団は機甲1個大隊を戦線から抽出し、補給線をふさぐ敵ダミー部隊の撃破に差し向けた。シディ・レゼクに対する枢軸軍の攻撃は執拗であり、損害を受けた守備隊が弱体化してきたため、部隊の交代が必要になりつつある。

第21ターン

第7機甲師団はついにビル・エル・グビを陥落させることに成功した。また戦線後方に入り込んできたイタリア軍部隊を掃討していた第22機械化旅団は、ようやく掃討を終え、シディ・レゼクへの増援に向かった。

第22ターン~第24ターン

第4機甲旅団の1個機甲大隊は補給線をふさいでいたドイツ軍のダミーを夜間攻撃で全滅させ補給線を回復するのに成功した。両軍とも激戦でかなり部隊が消耗しており、この夜間にはこれ以外は目立った動きはなかった。

11月23日

補給レベルは全部「攻撃」

第25ターン

ビル・エル・グビを占領した第7機甲師団は、守備隊を残して周辺の敵の掃討と西方へ突破して第132アリエテ師団を補給切れに追い込むべく攻撃を再開した。シディ・レゼクでは南方への補給線を脅かしていた第17パヴィア師団の歩兵大隊を第22機械化旅団が撃退したものの、シディ・レゼクの守備隊の 3分の2はドイツ第15装甲師団の攻撃でシディ・レゼクから追い出されてしまった。

第26ターン

シディ・レゼクの守備強化は間一髪で成功し、新鋭の機械化偵察大隊と自動車化歩兵大隊がゴット将軍の指揮の下で新たに配置についた。第7機甲師団は攻勢を継続しているものの、戦線が伸び切って戦力の分散を余儀なくされており、前進速度は鈍りつつある。

第27ターン

第7機甲師団は攻勢の限界点に達しつつも第132アリエテ師団の補給線を遮断することに成功した。しかし、戦力を分散せざるをえず、西方の端まであと1ヘクスと迫っているもののこれ以上の前進はできそうにもない。シディ・レゼクでは守備隊がドイツ軍の攻撃をよく受け止めている。

第28ターン~第29ターン

夜間になってももう明日のことを考える必要のない連合軍は攻撃を続行したがマップの西端にたどり着くことはできなかった。

シナリオ結果

シナリオ結果
陣営 合計得点 都市の得点 敵軍破壊得点 攻撃回数 成功率 制圧拠点数
連合軍 16,694 15,543 1,151 29 89% 6
枢軸軍 1,931 1,487 444 14 57% 0
両軍死傷者
陣営 歩兵 装甲 工兵 対戦車 砲兵 対空 航空
連合軍 8 18   4 5 3  
枢軸軍 46 29 2 1 2 4  

感想と反省

ゲーム終了までにすべての拠点を制圧することができた。また第132アリエテ師団を包囲することに成功した両軍の戦力差からすればこれ以上ないほどの勝利である。

今回のシナリオで大勝利を収めることができたのは、第1ターンにいきなりシディ・レゼクを占領できたことが大きい。これによって勝利得点上は連合軍が決定的に優越することになった。ビル・エル・グビ方面の攻勢も下手に第1南アフリカ師団を使わず、狭い正面に主力の機甲旅団を集中的に投入したのが順調な進撃ができた理由だと思っている。人間相手にプレイをした場合には、1ターンにシディ・レゼクを占領することは不可能だろうし、ガンブット方面でも直接的な攻撃よりは補給戦を脅かす機動をするであろうから、ガンブットの保持は苦しくなるであろう。枢軸軍はガンブットかシディ・レゼクどちらかに第15装甲師団の全力を投入すべきであった。戦力の分散したために両拠点とも奪回することができなかった。これはシディ・レゼクを枢軸軍が保持していた場合にはビル・エル・グビかガンブットのどちらかといいかえることもできる。

今回痛感したことに大量の砲兵が防御支援を行うことによる効果である。第7機甲師団の攻撃は序盤から予想の戦力比を大幅に下回る戦力比で実施された。30対1が5対1程度になることもまれではなかった。誤差にしてもひどすぎると思いよく調べてみると砲兵の防御支援が戦力比が低下する理由であった。ビル・エル・グビの10ヘクスほど北に布陣した砲兵の大部隊が防御支援を行っていたのである。このため第7機甲師団は非常に弱体な敵への攻撃ですらほとんど敵を全滅させることができなかった。今回のシナリオは、砲兵の攻撃的集中的な使用しか知らなかった私にとって良い教訓になった。

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