ロンメル装甲師団1941

シナリオ3「地獄のハルファヤ峠」連合軍(1997年5月10日)

戦闘序列

連合軍部隊組織

 第8軍──第13軍団──第2ニュージーランド師団──第4ニュージーランド歩兵旅団

                                     ──第5ニュージーランド歩兵旅団

                                     ──第6ニュージーランド歩兵旅団

                 ──第4インド師団──第1機甲旅団

                               ──第5インド歩兵旅団

                               ──第7インド歩兵旅団

     ────────────────────第11インド歩兵旅団

>枢軸軍部隊組織

 アフリカ軍団──第21装甲師団──第5連隊

                        ──第104連隊

         ──第55サヴォナ師団

作戦構想

このシナリオは、クルーセイダー作戦初期のイギリス本国第1機甲旅団に支援された歩兵2個師団の枢軸軍エジプト国境陣地への攻撃を扱っている。シナリオ開始時の戦力は、連合軍が圧倒的に優勢なのでどのようにして攻撃するかが問題である。

連合軍側としては、国境要塞を攻撃し、ハルファヤ峠を抜いて、ソルーム・カプッツォ砦方面に進撃し、バルディアへ向かう作戦も考慮した。しかし、この作戦は足をすくわれにくく無難ではあるものの、平押し・力押しというべき作戦で多大な消耗を伴い、11月23日までにバルディア攻略は不可能であろう。ここは枢軸軍防衛線を南方・西方より迂回し、シティ・アゼイスを経ていっきにバルディアを突いて枢軸軍を包囲殲滅するという野心的な計画を実施することにする。具体的には第11インド旅団にハルファヤ峠を第4インド師団にリビア・オマールを攻撃させつつ、第2ニュージーランド師団をリビア・オマール西方から枢軸軍防衛線の裏に回り込ませてシティ・アゼイスを狙わせる。第11インド旅団はハルファヤ峠を攻略した後はソルーム・カプッツォ砦方面に進撃させる。第4インド師団はリビア・オマール攻略後は国境要塞の掃討と第2ニュージーランド師団の補給路維持と増援を行うという計画である。

11月19日

補給は第2ニュージーランド師団と所属の全旅団と第4インド師団の第5歩兵旅団は「普通」。残りは「攻撃」。

第1ターン

第2ニュージーランド師団はシティ・アゼイス前面まで戦闘状態に入らない予定であり、第5歩兵旅団は後方にあるための補給処置である。このターンの移動はほぼ計画どおりに実施できた。第2ニュージーランド師団は、次ターンにシティ・アゼイスとカプッツァ砦に戦術移動で隣接できる地点まで枢軸軍防衛線を迂回して一気に前進。リビア・オマールとハルファヤ峠に対する攻撃準備も完了した。ただ第4インド師団の機械化偵察大隊が戦略移動でリビア・オマールに隣接する際、伏兵により損害を受けてしまった。空軍は戦術爆撃機により敵重要地点を空襲したがほとんど効果はなかった。

第2ターン

第2ニュージーランド師団は主力をシティ・アゼイスに向ける一方で、第6NZ歩兵旅団をカプッツォ砦に、機械化偵察大隊をソマールに、歩兵大隊と対戦車中隊を西方の断崖の切れ目に派遣した。この結果、ソマールの占領に早くも成功し、シティ・アゼイスとカプッツォ砦もわずかな守備兵力とともに包囲され、占領は時間の問題となった。また、国境要塞地帯を守備する第55サヴォナ師団の補給路を完全に遮断した。さらにシティ・アゼイス西方の断崖の切れ目を制圧したことにより、敵援軍に西方から側面を衝かれる心配はなくなった。南方ではハルファヤ峠に対する攻撃は一定の成果をあげたものの占領には至らなかった。しかし、リビア・オマールに対する攻撃は第1機甲旅団と第7歩兵旅団の全戦力を投入したことにより成功し、第2ターンにして早くも占領に成功した。

第3ターン

第2ニュージーランド師団は包囲したシティ・アゼイスとカプッツォ砦を攻撃したが陥落させることはできなかった。ハルファヤ峠の枢軸軍守備隊は第2ターンの攻撃で大きな損害を受けたようで後退してしまい、第11インド旅団が無血占領に成功した。リビア・オマールを落とした第4インド師団は第1機甲旅団を北上させる一方でリビア・オマール周辺の制圧にあたった。これで昼間のターンが終了したが、シティ・アゼイスとカプッツォ砦を陥落させることができなかったのは痛手だった。しかし、迅速な進撃によりソマールを陥落させ、敵の分断に成功しており、全般には優勢である。

第4ターン

夜間に入ったので基本的には移動・戦闘は控えねばならないが、あまりにも急速に進撃したため、連合軍の補給線は伸び切っており、このままでは翌日の補給に支障が出かねなかった。このため、夜間ではあるが、部隊の再配置を大規模に実施する。第1機甲旅団を除いた第4インド師団をリビア・オマール周辺に残し、第11インド旅団主力をハルファヤ峠に残して残る全部隊をシティ・アゼイスとカプッツォ砦周辺に集結させ、翌日の両拠点攻略戦とバルディアへの進撃に備えさせる。また国境要塞地帯の第55サヴォナ師団への補給線を遮断し続けなければならない。このターン、枢軸軍も活発に動き、第55サヴォナ師団は国境要塞を放棄して移動、リビア・オマールに接近してきた。また、シティ・アゼイイスを救援しようとする意図かバルディア方面からドイツ軍の第21装甲師団の一部が南下してきてシティ・アゼイス包囲網に圧力をかけてきた。

第5ターン

南方の第55サヴォナ師団を掃討するのは、リビア・オマール周辺の第4インド師団の歩兵2個旅団だけではかなりの難作業のようだ。しかし、これ以上の戦力を割くわけにはいかない。第11インド旅団はハルファヤ峠とソマールを確保する任務を果たさなければならないし、残りの部隊は包囲した2拠点を陥落させバルディアへ侵攻するには最低限必要な戦力だからだ。このターンにシティ・アゼイス北西へ派遣したダミー中心の部隊はバルディアからトブルクへの幹線道路の封鎖に成功し、第21装甲師団の到着を妨害出来る体制は整った。第1機甲旅団はカプッツォ砦周辺に展開を終了し、翌朝の攻撃開始に備えた。

第6ターン

部隊の移動は最低限にして朝を待った。夜間の移動は一応の目的を達して部隊の再配置に成功した。

11月20日

補給は全部隊「攻撃」

第7ターン

連合軍はシティ・アゼイスとカプッツォ砦に対して総攻撃を行い、シティ・アゼイスは守備していたドイツ第3機械化偵察大隊を全滅させて占領した。カプッツォ砦にこもっているドイツ第33機械化偵察大隊も74パーセントの損害を受けてしまい、このターンこそ持ちこたえたものの、次ターンでの陥落は確実である。バルディアからトブルクへの幹線道路にトブルク方面からドイツ第21装甲師団主力らしき部隊があらわれたが、ダミー部隊の妨害によってバルディア到着は遅らせられそうである。しかし、南方では第4インド師団と第11インド旅団による国境要塞部隊の掃討が成果こそあげているものの難航している。

第8ターン

連合軍は第2ニュージーランド師団の第6歩兵旅団によってカプッツォ砦を攻略した。またバルディア南方で敵司令部にせってきすることに成功したため、攻撃してみるとドイツ第21装甲師団の司令部であった。この部隊を断崖に追い込むことに成功した。この司令部を包囲しておけば敵装甲部隊が補給不足に苦しむことは確実である。第21装甲師団主力は足止め部隊とまだ交戦中である。また第11インド旅団は制圧地域をカプッツォ砦方面と繋げることに成功した。これで敵の第55サヴォナ師団の補給線を断つことに成功したことになる。しかし、問題はバルディア前面である。バルディア付近の防衛線は極めて堅固であり、頼みの第1機甲旅団は連戦の疲労のため、21日朝までは使えそうにない。攻撃準備を整えつつ、砲爆撃で相手の疲労を誘うしかないだろう。

第9ターン

掃討戦を行いつつ、バルディア前面に兵力を集結させる。攻撃の第1目標であるバルディア南方の陣地にこもるイタリア軍機関銃歩兵大隊を半包囲し、補給線を遮断することに成功した。また、第2ニュージーランド師団の一部はバルディア南西の陣地と断崖との間隙からバルディア西方に浸透し、バルディアの西からも圧力をかけた。国境地帯での掃討戦も順調に進んている。バルディア~トブルク幹線道路の連合軍の足止めダミー部隊は3部隊のうち2部隊をこのターンまでに壊滅させられたが、残りの1部隊がまだ道路をふさいでいる。第21装甲師団のバルディア到着を13ターンくらいまで引き伸ばせればよいのだが‥‥‥。そうすればバルディアの外郭陣地を突破し、占領するのも夢ではない。

第10ターン~第12ターン

司令部の部隊を利用してリビア・オマール~カプッツォ砦の間の道路を制圧地域に収める。バルディアの南の陣地を翌日を期して攻撃するため、第1機甲旅団に補充・休息を与えた後に周辺に布陣させた。全般的には21日のバルディア攻略戦に備えて疲労の回復に努めた。バルディア付近の戦線が縮少し、戦力に余裕が出たため、新たに第11インド旅団をハルファヤ峠方面に引き上げさせ、掃討戦に当たらせることにする。

11月21日

補給レベルは第8軍・第4インド師団は「標準」。他は「攻撃」

第13ターン

バルディア南方の陣地に総攻撃を行うつもりであったが、20日の戦闘の影響のため、思った以上に主力の第1機甲旅団の疲労と混乱が著しく、総攻撃を翌ターンに延期し、部隊の休養・再配置に努めた。守備部隊のジェノヴァ機関銃歩兵大隊は補給線を断たれて、かなり戦力が低下しているようである。

第14ターン

バルディア南方の陣地に総攻撃を実施して守備部隊を全滅させる。前線には第6ニュージーランド旅団と第4ニュージーランド旅団を入れ、第1機甲旅団は後方で混乱と疲労の回復に当たらせることにする。

第15ターン

バルディア南西の敵第二線陣地に対して、攻撃部隊を集結させる。敵陣地の補給線を断つためにバルディア南西のヘクスに陣取るイタリア軍砲兵に攻撃を加えてこれを撃破する。またバルディア西方のトブルク方面への幹線道路上に進出した対戦車部隊に陣地を構築させ、ドイツ第21装甲師団主力によるバルディア救援を妨害する体制を整える。リビア・オマール東方での掃討戦は難航している。第55サヴォナ師団にはさしたる拠点も補給もないのだが、戦車部隊抜きの第4インド師団の2個旅団だけでは遅々として進まない。新たにハルファヤ峠に差し向けた第 11インド旅団と挟み撃ちを行うことにする。もっとも、補給線と拠点(ハルファヤ峠とリビア・オマール)の確保がこれらの部隊の主任務であり、敵軍撃破の得点以外には無理に追うメリットはないのだが。

第16ターン~第18ターン

第16ターンに、22日の攻撃のためにバルディア南西の陣地の周りに攻撃部隊を集結させ、後はひたすら休養する。

11月22日

補給は第8軍、第4インド師団、第5ニュージーランド・第11インド旅団は「普通」。残りは「攻撃」。

第19ターン

バルディア南西の敵第二線陣地に対して総攻撃を実施する。この陣地も四方を連合軍に囲まれ補給切れになっていたものの、守備するドイツ軍重自動車化歩兵大隊はきわめて強力であり、戦車3個大隊を含む8個大隊の攻撃を持ちこたえた。バルディア北西の掃討戦は完了し、掃討を行っていた第5ニュージーランド旅団はバルディア方面に移動を開始した。

第20ターン

バルディア南西の陣地に第2次総攻撃を行い、守備隊に大打撃を与えたが、陥落はしなかった。

第21ターン

集中的な砲爆撃の支援を受けてバルディア南西の陣地に3回目の総攻撃を行い、陥落させた。さらに戦闘後前進によってついにバルディアに隣接するときに成功した。

第22ターン~第24ターン

バルディアへの直接攻撃の準備のためにバルディア前面に戦力を集結させる。この頃までにカプッツォ砦付近の掃討戦も終了し、国境付近で粘っている第55サヴォナ師団を除いて、連合軍戦線後方の枢軸軍部隊は壊滅した。

11月23日

補給は第8軍、第2ニュージーランド師団、第4インド師団のみ「標準」。他は「攻撃」。

第25ターン

バルディアへの直接攻撃を歩兵4個大隊で行う。守るのはドイツ軍の軽対空砲と砲兵各1個大隊のみであり、これを撃破して占領。補給物資を2000トン近くも手に入れた。バルディアを失ったことにより、枢軸軍は一切の補給を失い、壊滅は時間の問題となった。またバルディアの北西にも部隊を派遣し、バルディアの外郭陣地の部隊の退路を封じた。また第55サヴォナ師団を掃討すべく、新たに第1機甲旅団の2個戦車大隊を南方へ派遣した。

第26ターン

バルディアの北西のヘクスに追いつめたドイツ・アフリカ軍団司令部を壊滅させた。これでバルディア周辺には2ヶ所の完全包囲された陣地にこもる部隊が残るのみである。しかし、陣地の地形効果は強力であり、補給切れの効果が出るのも明日以降となるため、攻撃は控えて包囲のみにとどめる。

第27ターン

ゲーム期間中最後の昼間である。南方でいくつかの攻撃を行ったが、枢軸軍にはもはや反撃能力はないらしく、ほとんど動きはなかった。

第28ターン~第29ターン

第27ターンまでの戦闘によってリビア・オマールとハルファヤ峠に対する第55サヴォナ師団の脅威は一掃された。第21装甲師団も堅固な陣地に阻まれて攻撃を実施することもできないようだ。連合軍は現地点を確保しながら23日が終わるのを待った。ゲームは連合軍の完全な優勢に終わった。

シナリオ終了時戦況図

シナリオ結果

シナリオ結果
陣営 合計得点 都市の得点 敵軍破壊得点 攻撃回数 成功率 制圧拠点数
連合軍 12,709 10,271 2,438 48 100% 8
枢軸軍 3,815 3,630 185 3 100% 0
両軍死傷者
陣営 歩兵 装甲 工兵 対戦車 砲兵 対空 航空
連合軍 10 11   <1 1 <1  
枢軸軍 92 30 7 2 4 14  

感想と反省

完全な優勢であり、満足のいく結果といえる。すべての重要拠点と補給源は連合軍の制圧下にある。国境付近でがんばっているイタリア第55サヴォナ師団もほぼ壊滅しており、後1日もあれば全滅は確実である。ドイツ第21装甲師団は補給切れをおこしており、ほとんど攻撃力を失っている。

成功の要因は、第2ニュージーランド師団をリビア・オマールを無視して東方を迂回させ、早期にシティ・アゼイスにカプッツォ砦やソマールなど第2線の拠点を陥落させたことであろう。またバルディアを攻略できたのは、シティ・アゼイス北西の断崖の切れ目からダミー部隊を急速に北上させてトブルク~バルディア街道を封鎖し、ドイツ第21装甲師団のバルディア救援と南下を妨害したことと、バルディアの外郭陣地の東をかすめて部隊をバルディアの東側に回り込ませ、バルディア南西の防衛陣地を補給切れにしたことが大きかった。枢軸軍でプレイするときは、こうしたことを連合軍にさせないことが勝利への道であろう。

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