モンテローザへ届かず（たぬ）（2003年7月23日）

ゴルナー氷河とマッターホルンを背景にがっかり

登山開始と敗退まで

2時起床。でも1時半には起きて用意を始めた人がいるので、私たちの部屋の人は全員1時半に起きて用意を始める。他の部屋の人は決まりどおり2時まで起きなかった様子。
用意をして朝食へ、たっぷりの熱いお湯、コーンフレーク、パンなどがあって大きい湯飲みに紅茶を2杯も飲んで、コーンフレーク、牛乳、オレンジジュースをいただいて、トイレへ行って2時20出発。曇っている。20分も歩くと雨が降ってくる。岩の陰でビバーク、雷も鳴っている。今日のガイド登山は私ともう一人だった。 彼らも同じ場所でビバーク。30分後、雨が止んだら、一組は降りていった。私たちは50分後、再出発。星空。岩場を少し歩くと、ガイドレス登山の人たちが迷っていたようで明かりがたくさん見える。ガイドが迷わずまっすぐ歩いていくと、後ろをついてくる。しばらく歩いていて、ガイドはコースを 外した様子。水が流れていて、草が生えているところを歩き始めた。きっとビバークした分を取り返そうとしているのだろう。後ろを向いて、「ついてくるな」と言うが、みんな構わずついてくる。石が崩れる音が時々している。何度も後ろを向いてついてくるなと言っている。一度は「Don't follow me.」とガイド言ったら、後ろから「alone」と返事があったので笑ってしまった。

その後、アイゼンを付けアンザイレンして氷河上に出る。みんな後ろからついてくる。ガイドはほとんど迷うこともなく上へ上へと進む。私も体調がよく順調に進む。4時から6時の間はまったく疲れも感じず時計を見て、えっもう2時間たったの？という感じ。

その後、少し息が苦しくなったなーと思っていると、ルートから少し外れてガイドが休憩する。そして、足をずぼっと雪に突っ込んで、「もう雪が柔らかいから戻る。」と言う。「えっ？嘘！」私、こんなに体調がいいのに、、、、がーん。しかし、ガイドが戻る。と言ったらどうしようもない。あーあー。「今年は猛暑。更に昨日の夜、とても暖かくそして雨まで降ったので柔らかくてこれ以上はいけない。」とのこと。がっかり。

モンテローザヒュッテへの下山

その後、登り続けるガイドレスの人たちとすれ違う。
登っていくのが、うらやましくって、悲しくて、顔を見ることができなかった。登りたかった。でも、ガイドがそう言うんだから、柔らかいんだろうなー、登ったとしても戻れないんだろうなー。あの登り続けたガイドレスの人たちはどうなったんだろう？？知りたい。

下りは、登りの道とは違うクレバスがいっぱいあるところを通ってとってもスリリングで楽しかった。クレバスのいっぱいのところを通ったくらいから私の気持ちも晴れてきた。後でどこまで登ったかと聞くと4,000mのところまでとのこと。
この山に比べると昨年のモンブラン、エギーユ・ド・ミディからの縦走ルートは天空の散歩道という感じがする。

ガイドは昨日マッターホルンのガイドをしたと言っていた。
ヘルンリヒュッテから歩いて下りて(1時間)、ゴンドラに乗ってツェルマット(20分)へ、そしてゴルナーグラード鉄道に乗ってローデンボーデン(40分)からモンテローザヒュッテ(1時間30分)まで歩く。これだけで3時間、ゴルナーグラード鉄道の本数は多くない。これに昼食の時間1時間を足して考えると、最低でも4時間かかる。ヒュッテでの待ち合わせ時間は18時30分。ということはガイド登山は午後2時以降になるようなら途中で打ち切られると思われる。厳しい現実。

写真のホワイトバランス設定をおかしくしてとっていたので青いが本当は白いのです。

ガイドのヘリ。マッターホルンのジャッジをしてもらおうと思ったら、岩の所まで行っていないので分からない。他の所を登ったほうがよい。と言われる。

モンテローザヒュッテからローテンボーデンへ

モンテローザヒュッテに10時頃到着。
モンテローザヒュッテでスープを飲んで帰る。ガイドはヒュッテで明日の仕事の連絡を待つらしい。
残念な気分で重くなった足を引きずってモンテローザヒュッテからローテンボーデンヘ。下って、氷河を渡って登らなければならないんだよなー。あーしんどい。

モンテローザヒュッテのトイレ。清潔なトイレだった。

クレバスがお口を開けている。

ゴルナー氷河の上で

左の雪山の横にくっ付いてた岩（8m×5m×3m）が私の目の前でつるっと8m位滑って下の岩にぶつかる。
怖い！下にいたらひとたまりもない。"氷河上の岩は氷の上にある”と言うことを再確認。解けていつ滑り始めるか分からない。
教訓”大きな岩の下には留まってはいけない。"すっかり恐ろしくなってしまった。

ブライトホルンもここからみると聳え立つよう

氷河と分かれる。ここからは登り。足が重い。

お花がきれい。

14時23分にやっと、ローテンボーデン駅に到着。

ローテンボーデンの近くでビバークの後、すぐに引き返したもう一人のガイド登山のスペイン人に抜かされる。関係ないがこのスペイン人は夕食でパスタが出ると、すぐナイフとフォークでスパを刻んでそしてフォークで食べ始めた。スペイン人はみんなこういう食べ方をするのかしら（サンチェスも？）ちょっとびっくりした。
電車で話を聞くと日曜日に再挑戦とのこと。私が多分もう登らないと言うと、ツェルマットに滞在しているならまた登れるよ。と言われるが、この温かい季候では再挑戦する気にはなれない。

シャレーに戻ると、NAOMIは元気に喜びの声を上げてくれるが、ちょっと体調の悪そうな顔をしている。発熱しているらしい。手足口病だなー。こちらについてからよくお口がまずいと言っていたし、お尻にぶつぶつができていた。（おむつかぶれと思っていたけど手足口病だったのね)

根拠地の貸し別荘に戻る。

夕方

アルパインセンターで（天気が悪そうなので）明日のTADAポルックス登山、（天気がよさそうなので）明後日のたぬのブライトホルンハーフトラバースの申し込みをする。
申し込みをしているときにヤギが通っていくことをNAOMIが見つけTADAとNAOMIが追いかける。
英語が全くできないおっちゃんに会う。「予約したいんだけど、ちょっとお願い。」と言われる。モンブランに登ってきて、マッターホルンにも登るらしい。

COOPでお買い物をしていると、昨日モンテローザヒュッテで会った、ヒューさんに会う。モンテローザ登山はどうなったかと聞くと、天気が悪いので登らなかったとの事、賢い。バーンホフホテルに誘われて、ヒューさんお手製の美味しいスープをご馳走になる。私たちのシャレーにも遊びに来てねとお話しをする。