サンモリッツとツェルマットでスキー(2010年冬)

冬のレーティッシュ鉄道ベルニナ線1(2010年12月25日)

豪雪の冬のオスピッツォ・ベルニナ駅

時差ぼけで早く目が覚めたので、早朝にベルニナ線に早速乗車した。とても寒く雪の多い日であったが、新型の電車で眺めも快適であった。途中、一時立ち往生するトラブルもあり、ポスキーヴォで、乗車した列車は運休になった。

早朝のサンモリッツ駅と新型車両ABe 8/12

今日のサンモリッツの予想最高気温と最低気温は-5と-12度。オスピッツォ・ベルニナ駅[Ospitzio Bernina/2253m]はどれほど寒いのだろう。
朝食にご飯、納豆、なめたけ、野菜とベーコンのスープのを食べる。

今日はクリスマス。子供たちは日本にいるとき、旅行中だけれどサンタさんは来てくれるのだろうか。と心配していたが、喜ばしいことに、夜中にプレゼントを枕 元に置いてくれた。サンタさんは勤勉だ。しかし、NAOMIの好きな500系の新幹線のTシャツがTAKUTAKUの枕元に、TAKUTAKUの好きなN700系のものがNAOMIの枕元に置いてある。??空の上に向かって、交換してもよいか確認した後、プレゼントを交換する。サンタも間違えることがあるのだ。

今日は、世界遺産レーティッシュ鉄道ベルニナ線に乗車する。大好きなオープンループを通れると思うと胸がわくわくする。

7時20分、サンモリッツ駅に到着する。7:45 サン・モリッツ発ベルニナ線ティラノ行きに乗車するので、発車まで20分以上ある。
子供たちは構内に積もった雪で雪遊びを始める。雪合戦がしたいのだが、握っても握っても雪がまとまらず、投げることができない。気温が低すぎて、何をしても粉雪のままなのだ。

雪合戦の真似事をして遊んでいると、TADAが興奮してかけてくる。何事かと思うと、「ベルニナ線の列車が新しくなっている」と言っている。

ホームの東のはずれまで走っていくと、ピッカピカの新型車両が停車している。ABe 8/12型というらしい。格好いい!以前の車両も素敵だったが、新型は一段と格好いい!

新型車両は、ただ新しいだけでなく、とても格好よく、その上、運転席の後ろはガラスで、最前列からは、運転手さんの見ている景色とほぼ同じものを見ることが出来る。興奮しないわけにはいかない。

ひとまず、写真撮影。

列車からは新品の匂いがしている。

サン・モリッツ[St. Moritz]駅を滑るように列車は発車する。

四人とも、ガラスに張り付いて、前方を眺めている。めちゃくちゃ楽しい。

ポントレジーナからラーゴ・ビアンコへ

ポントレジーナでの停車時間が長い。これは、機関車交換のためでここまでは交流でここからは直流になるためだ。しかし、新型電車のABe 8/12型は交流直流両用なので交換は必要ないが、車両を変えたときのために、停車時間が長くなっているようだ。外は次第に明るくなる。

列車をたっぷり観察したので、もう早く発車してほしい。

ポントレジーナの駅舎。

旧型のベルニナ線の車両だ。この車両も大好き。

ポントレジーナ[Pontresina]の駅前からは、ポントレジーナ[Pontresina]の町がみえるが距離が遠い。

朝一番の列車に乗る人はほとんどいない。サン・モリッツ[St. Moritz]から乗車したのは、多分私たちだけ。ポントレジーナ[Pontresina]からは女性が1人と、男性が1人。合計6人が乗客だ。

さあ、発車だ。朝除雪したと思うが、それでも線路の上に雪が積もっている。

線路の上に雪が積もって、線路が見えなくなっていても、列車は線路の上を走れるなんて知らなかった。

ポイントのところだけは雪が溶けている。

雪かきが雪を跳ね飛ばしながら、列車が進む。大量の雪が舞い上がる。雪は積もっている雪も粉雪のままなので、驚くほど舞い上がる。

運転席の速度表示計には、その区間の最高速度が表示されるようになっていて、目盛りのところに赤い三角のしるしが、移動するようになっている。サン・モリッツ[St. Moritz]を出発してからしばらくの間、平坦なところでは65km/hのところに赤三角があり、運転手は赤三角までスピードを上げ、そのスピードを維持している。
線路は、ポイントのところだけ凍結しないように、熱源が入っているのだろう、雪が解けている。がーという音を立て、雪を跳ね飛ばしながら進む。雪の塊だって、どんどん飛ばしてしまう。

標高をあげるにつれてどんどん雪深くなる。ラーゴビアンコ付近はただただ真っ白。何もない。

サン・モリッツ[St. Moritz]へ向かう列車とすれ違う。

夏にハイキングをしたラーゴビアンコ付近を、冬に歩くのも楽しいだろうと思っていたが、とてもそのような世界ではない。オスピッツォ・ベルニナ駅[Ospitzio Bernina/2253m]駅はホームと線路以外には出られないように見える。 雪に閉ざされているとはこのことだ。積雪は10mくらいあるのではないだろうか。

オスピッツオ・ベルニナ駅に、除雪車両が停車している。雪を跳ね飛ばすプロペラが二つ、機関車の前に付いている。この一番列車が走るまで働いていたのだろう。まだ、電気が灯っている。

列車の緊急停止と復旧

アルプ・グリュムの手前を雪を飛ばし飛ばし、快走していると、ドン、ドンと二回、まるで雪の塊、大きさは身長100cmの雪だるまの体の部分くらい、が当 たるような音がした。すぐに、運転手は列車を停車させ、電気のスイッチを全てOFFにし、携帯電話でどこかと連絡を取りつつ、列車の中央部にある配電盤のところで、何か操作を 行っている。操作をした後、運転席に戻り、電気のスイッチを入れるが、画面にエラーメッセージが出ている様子だ。

運転手が運転席を離れ、電気関係の機器を操作し、再び運転席に戻って列車を動かそうとするがうまくいかない。ということが数回、繰り返される。バッテリーがどうのこうのと話をしている声が聞こえる。
救援列車を呼ぶのだろうか??運転手さんはめちゃくちゃ格好いい。あせらず、あわてることなく、あきらめずに電車を動かそうと懸命だ。

電気が切れているので、自動ドアが半開きで止まっている。

待つのも楽しい。

外は真白。何も見えない。

運転手が電話で指示を受けながら、電気関係の復旧を試みている。

空腹TAKUTAKUはパンを食べ始める。

列車の電源を入れて動かそうとするが、エラーメッセージが表示されて動かない。

50分後、運転再開!運転手さんは運転が出来るだけではなく、故障したときの復旧まで出来るのだ、と感激する。
何事もなかったかのように、雪を跳ね飛ばしながら、列車は進む。

アルプ・グリュム駅で大きな箒のようなものを持った保線係の人を一人乗車させ、途中の雪深 いところで、下ろした。彼は、雪かき作業を手作業でするのだ。ご苦労様、ありがとうございます。こんな雪深いところに鉄道を通すことは、なんて偉大なことだろう。鉄道を通したことだけでも偉業だと思うが、不断の努力がなければ、維持できない。
おかげで、のんきな私たちが列車の中で騒いでいられる。スイス人は勤勉だなーと感心する。

アルプ・グリュムからポスキアーヴォへ

列車はアルプ・グリュムを発車すると、まず、オメガループを通り、あっちに行ったり、こっちに来たり何度も方向を変え、高度を下げていく。

どこもかしこも白い。

雪囲いのトンネル 。

旧型列車とすれ違う。あの列車では、このように前方を見ることができない。

ポスキアーヴォの村が見えてきた。ポスキアーヴォ湖は、凍結していない。

下に、これから通過する線路が見える。

少し前に、50分も故障して停車していたとは思えないほど、快調に走行している。もし、修理をするとなると、ポスキアーヴォ駅の工場で行うだろう。すると、この列車でティラノまで行けれなくなる。このまま走り続けてほしい。

列車が進むにつれ、積雪が減り、人間の住む場所に戻った気がする。子供たちは雪が少しになったと言って残念がっているが、私は、なにかほっとした気持ちになる。

10時25分、ポスキアーヴォ駅に到着する。

予想していたことだが、ポスキアーヴォ駅で、「この列車は修理をする。20分後にくる列車に乗り換えてくれ」と言われる。このまま、この列車でティラノまで行きたかったので残念だ。

故障しつつも、ここまで、乗せてくれてありがとう。また乗せてください。

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