フィンスターアールホルン登山とスイス中部観光(2008年夏)
天候が悪かったので、たぬのフィンスターアールホルンへの登山は延期になり、近くの小ピークに登るなどして1日待機した。
明け方、強い風の音で目覚める。多分無理登頂はなのだろう。さて、どうする??ベッドの中で考える。天気が悪くて登れないのは仕方のないことだが、残念だったとあきらめるには、フィンスターアールホルン小屋は遠すぎる。あんなに長い道のりを歩いてきて、登れないのは惜しすぎる。この小屋は素晴らしいから何度でも泊まりたいが、ここまで歩くのは大変だ、是非登って帰りたい。
もし、ガイドが一日でフィンスターアール小屋とユングフラウヨッホへの往復をしてくれるなら、TADAのユングフラウ登山を次回に延ばして、明後日、フィンスターアールホルンに登ることが出来る。頼んでみようと決めてもう一眠りする。
4時少し前に起床し、登山の準備をして食堂へ向う。少し雪が降っており、風が強いので1時間待つことになったとガイドに言われる。朝食は5時30分からにする。再び1時間ほどぐっすり眠ったあとで、シリアル、パン、ヨーグルト、チーズの朝食を食べる。途中でガイドと外へ行き、彼がフィンスターアールホルン(雲の中に入っている)方面を指差し、この天気なので登頂は無理だと告げる。予想通りだ。天気はどうすることも出来ないので仕方がない。
食堂へ戻り、これからの相談をする。「今日、小屋からフィッシャー氷河を挟んで向かい側にあるピークWyssnollen(3,590m)に登るか、今日メンヒスヨッホへ移動して明日フィッシャーホルン[Fiescherhorn/4049m]に登るか。」とガイドが提案する。私は、「明後日フィンスターアールホルン[Finsteraarhorn/4274m]に登り、その次の日にTADAとユングフラウヨッホで交代して、ガイドとTADAがその日にフィンスターアール小屋に戻ることは可能か。」と聞く。ガイドは一日でフィンスターアールヒュッテとユングフラウヨッホを往復することになる。よほどびっくりする提案らしく、「混乱しているからしばらく考えさせてくれ!」と言われる。しばらく経った後で「4時に小屋を出発すれば、何とか可能だ。」と苦しそうな顔で提案を受けてくれる。
ありがとうフランク!よいガイドに当たった。その後で、小屋の人に明日の晩の予約をすると、「コンコルディア小屋に泊まったら?」と提案してくれる。ガイドの顔がぱっと明るくなった。よし、それで行こう。TADAとは10時にユングフラウヨッホで交替する予定だ。TADAにはユングフラウ[Jungfrau/4158m]登山を諦めてもらおう。
今日はどうするかと聞かれ、Wyssnollen(3,590m)に登ると答える。しかし、朝食後外へでると、立っているのがやっとというほどの強風が吹いている。「風が強いし明日は長い1日なるから少し考えたら?」と言われる。確かに大事の前の小事だよなー。でも、せっかくこんな所でガイドと一緒にいるのに、何もしないのはもったいないよなー。さんざん迷ったが、風が強すぎたら引き返せばいい。ということで7時30分に小屋を出る。外へ出ると、確かに風はとても強いが、歩けないほどではない。登ることにしてよかった。ガイドに「大丈夫か?」と何度も確認される。
10分くらい小屋の下の岩を下り、フィッシャー氷河へ出て、30分で氷河を横断する。その後はずっと雪に覆われた山を登る。斜度は程々で楽に登れるが途中に凍っているところがある。そこだけは緊張する。10時(小屋を出てから2時間30分後)に頂上に到着した。Wyssnollen(3,590m)に登頂した。ガイドがとても上手くペースを作ってくれるので、息を切らすことなく登ることが出来た。
頂上以外は休憩はしなかった。他に今日登ったのは5人のグループとそのガイドだった。彼ら一緒に頂上で15分ほど休憩し、10時15分から下り始める。フィンスターアールホルンに登れなかったときに皆登るのだろうか、足跡がたくさん残っている。
登山をすると人間の一歩は偉大だなーと思う。あんなに上のほうにあって、とても届きそうにない山の頂へ向かって一歩一歩と歩き続ける。ふと気が付くと頂上に届いている。何事も一歩一歩少しずつでも進み続けることが大切だなー。ヨーロッパ登山を(出産を挟んで、)毎年何とか踏ん張って続けている間にたくさんの山に上り、技術も少しずつ上達したと感じる。一歩一歩進むにも方向が大切だ。間違った方向に進むととんでもないことになってしまう。しっかり進むべき方向を考えて進まなければいけない。
今日はとても寒い。
強風で旗が吹き飛ばされそうだ。
昼ごろに小屋に戻って、ロスティを食べる。ガイドはベーコン入りに卵を乗せ、私はベーコン入りにチーズを乗せた。ボリュームがめちゃくちゃあり、頑張って食べたが食べ切れなかった。
午後は昼寝をしたりしてゆっくり過ごす。小屋はきれいだし、一人用のベッドでごろごろ出来るし、とても幸せな時間だった。子どもが生まれてから、こんなにゆっくりしたのは初めてかもしれないなーと思いつつ、氷河の上にある小屋で幸せな時を過ごした。
夕ご飯の時間になる。今日は満員だ。食堂はたくさんの人で賑わっている。こんなにたくさんの人がフィンスターアールホルンを登るのかと驚くが、ほとんどの人はハイキングをして小屋めぐりをしていると聞いた。なるほど、こんなに素敵な小屋なら小屋に泊まるだけでも楽しいと思う。しかし、山に登らないのに、あんなに長い距離をたくさんの荷物を持って氷河をハイキングするのですか?私には無理だ。山に登るためだから頑張れるが、ハイキングではここまで到着できないだろう。でも、みんなとても楽しそうだ。それぞれの楽しみがあって、それぞれが楽しくて幸せだ。
昨日、宿泊客が少なかったのは偶然なのか、天気のせいなのか?
夕食のメニューはねぎのスープ、レタスと白菜、にんじんのマヨネーズ和え、ミートソースのパスタ、デザート。どれも美味しかった。
宿のスタッフも昨日は2人だったが、今日は5人も働いている。
恒例の19時50分からのニュースと天気予報を全員で見ると、明日の天気は良いと言っている。うれしい!期待で胸がいっぱいになる。
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