レマン湖・スイス西部観光とシャモニで登山(2007年夏)

グランド・ジョラスに届かず(2007年8月 1日)

グランド・ジョラスに挑むも届かず

2時少し前に目が覚める。カリカリパンがテーブル中央に置かれていて、席にバターが1つとジャムが2つ置いてある簡単な朝食だ。昨日のお兄さんがコーヒーか紅茶を大きいカップに一杯ずつ運んでいるが、昨晩に引き続きとてもゆっくりだったので、出発が遅れた。 私たち以外に3グループがガイドレスでグランド・ジョラスに挑む。私たちが一番最後の出発になった。

2時50分にヘルメットをかぶりアンザイレンして出発する。始めは簡単な岩場を登る。いつも同様すぐに息が上がる。私はすぐに息が上がるがそのまま歩き続けることが可能なので、気にしてほしくないがガイドは気にしている様子だ。嫌だなー。 30分ほどで氷河の取り付きに到着する。先に出発した人たちに追いついたので自分ではまずまずのペースなのかな?と思う。アイゼンを装着して氷河を歩き始める。雪は締まっているので歩きやすいと感じる。

先頭は私たちだ。ここで他の人達を引き離すほど早く歩ければよかったのだろうが、他のグループよりも少しだけ私のほうが速いというペースだった。ガイドは氷河の途中の変なところで休憩を取る。私の息は切れていないし、休憩に適したところではなかった。不思議そうに彼の顔を覗くと、「私は山岳ガイド、他のグループが自分のルートを付いてくるから、他のグループを先に行かす。」「毎回このパターンだ。」とうんざりした顔で言って待っている。私はスピードに自信がないから先に進みたかったが、ガイドに従った。しかし、約4時間後にあの時「自分は遅いから少しでも早く行きたい」と主張すべきだったと後悔した。

2回ほど他のグループを先に行かすための休憩があった。他のグループより早く歩けているので今日のペースは悪くないのかなと勘違いした。 途中、モンブラン縦走コースのモン・モデイの壁を思い出すような急な雪面があった。そこでピッケルを打ち付けて刃を雪面に食い込ませようとするのだが、パワー不足か下手なのか、きっと両方だろう、刃は食い込まず、何度も何度もやり直さなければならなかった。
経験不足だし、アイゼンとピッケルの使い方が下手だなーと自分でも思った。

氷河が終わると次は岩場、ここでもガイドは他のグループが付いてくるのを嫌っている。他のグループが岩場に取り掛かったのよりもずいぶん右に回ったところから岩に登り始めた。岩が大きい。ヴァイスホルンよりもマッターホルンよりも大きい。2度ほどどこに足をかけてよいか困り、体を上げたが足を次に掛けるところが見つからず、落ちてしまうかもしれないと思った。しかし、何とかガイドに吊り上げられることもなく、自分で登ることができた。(後でガイドブックを見るとグランド・ジョラスの岩場はⅡ級、コースをはずすとⅢ級と書いてあった。ひょっとして他のグループにあとを付けられるのを嫌がってコースをはずした?との疑念が心の中で浮かんだ)

もっと早く登るように言われる。私が先頭で他のグループはずっと後ろを登っていて、付いてこられない情況だった。すぐ後ろにいるときは休憩して、他のグループが付いていないと急げだなんてちょっとひどいんじゃない?と思った。手袋をしている場合ではないと思い、手袋をはずすがその後は、岩は小さくなったがガレていて、いやらしかった。ここで時刻は6時を過ぎていた。ガイドに遅いよ、もっと急いでと言われる。

雪のところをしばらく歩いているとガイドは止まって、「時間が遅いし、この先はもっと難しい、それにもっと危険だけどどうする?(What do you think?)」と聞かれる。「続けたい。」と答えたら、先に進んでくれたのでホッとした。しばらく歩くと氷河のトラヴァースのところに出た。ガイドは上からの雪崩に注意しながら慎重に渡って行った。その時もっとガイドの足の運びを慎重に見て勉強しなければいけなかったにもかかわらず、後で振り返ってみるとガイドの足の運びをしっかり見ずに、ボーっと見ていたのだろう、どのように足とピッケルを使って渡っていったのか記憶が無い。

ガイドが渡り終わって、ガイド自身の確保ができたので進むように指示が出る。進み始めて、2つ雪面にアンカーがねじ込んであるのを外しそれを自分のハーネスに付けている時に、右足がしんどかったので横にしてしまった。すると、大きな声でガイドが「危ないよー右足!」と言う。ガイドの日本語は右と左を間違えていることがあるので、そう言われてみても実際に何がいけないのかすぐには分からなかった。後で考えると両足ともアイゼンの前の2本をしっかり雪面に食い込ませておかなければいけなかったのだ。

ちょうど後ろから来ていたグループの人が私の横に来たときだったので、ガイドがフランス語で私たちのザイルをその人のアンカーに付けてもらうように頼んで、ザイルが確保されると、ガイドは戻ってきてしまった。The end.終わってしまった。

私の実力に余る山でした。ガイドが後から来る人たちにに「もう遅いよ。危ないよ。」と話をしたので他のグループも全員同じ場所で引き返した。7時30分。

帰り道もガイドがいうとおり大変だった。確かにあの後頂上まで言った後でここを帰るのはきついだろうなー。今の私たちの山登りのやり方、日本では山登りをせずに夏にアルプスに来たときだけに登るというスタイルでは、必要な筋肉も技術も体力も不足していて限界が見えたのかなーと思いながら岩場を慎重に下る。途中懸垂下降もたくさんした。技術不足、特にアイゼン、ピッケルワーク、そして上りのスピード不足という課題の見えた山行だった。
約4時間30分の山登りで終わってしまった。がっかりだ。

グランド・ジョラスからボカラッテ小屋までの下山

戻るのはゆっくり写真を撮りながら下る。

モンブランが見える。

クレヴァスが大きく口を開けている。

天気がよく、遠くまで見渡せる。こんなに条件が良いのに、、、、登れなかった。

雪面の斜度が大きいので、下るのも疲れる。

8時。

気持ちは晴れないが、天気はとても晴れている。斜面は急だ。

登るときには暗くて見えなかった岩。下りは懸垂下降で下りた。

ガイドが下りてくる。

ここは岩が大きくて大変だった。

急な雪面を下る。

クレヴァスがたくさんある。

どんどん下る。

雪がだんだん軟らかくなってきた。雪面の最後に近づくと斜度は緩やかになる。

アイゼンとザイルを外して歩く。簡単な道だが気分が乗らないのでゆっくりだ。 10時40分。

休憩をする。10時50分。

足取りは重い。

緩やかな斜面に岩がごろごろしている。

雪がたくさん残っている。

あと少しだ。

ボカラッテ小屋が見えてきた。

最後に記念撮影。

ボカラッテ小屋にお別れ

今日登ったルートは赤の線だ。

小屋にルートの説明の写真が貼ってある。

小屋に戻りガイドと昼ごはんにイタリアンパスタを注文する。予想どおり、料理が出てくるまでにはたくさん時が流れる。

昨日、事故にあった人の仲間の人たちが荷物を取りに登ってきたので話を聞く。幸い怪我はたいしたことが無く、たくさんの現地の人達にとても親切にしてもらった。と話していた。彼らは朝1時30分に小屋を出発して10時30分に登頂したとのこと、その後からガイド登山の人が登頂していたと言っていた。私のペースよりも遅いじゃん。昨年のホルツナー様のような時間がかかっても登頂させてくれるガイドもいるのねーとうらやましかった。
とてもおいしいイタリアンパスタをいただく。ガイドは赤ワインもおいしそうに飲んだ。

小屋のすぐ横に氷河が流れている。

ボカラッテ小屋からの景色は素晴らしい。

ガイドが出発前にストックの調整をしている。

13時にボカラッテ小屋を出る。
小屋からの下りはこんなに急だ。 登りのときに1箇所、足が届かなくて困ったところがあった。

ボカラッテ小屋からからプランパンシエールの駐車場まで

下り始めるとすぐ、ガイドに「TADAにはグランドジョラスは難しいと思うけど、どう思う?」と聞かれる。TADAと話をしますと答える。”TADA、済まん、たぬが失敗してしまったため、あなたの足を引っ張ってしまって、、、TADAはスピードはとっても早いのに。”
小屋からの下りは途中までアンザイレンして下る。登りのときはしなかった。くだりのほうが危険だからか、登頂出来ないような、下手なやつは心配だからか、聞きたいような聞きたくないような気分だったが、質問しなかった。

私が先に下り、ガイドが下りてくるのを待つ。

固定ロープがあるのでありがたい。

小屋の下は急なのですぐに小屋は見えなくなる。

小屋の直下以外は大きい岩は無い。

岩肌にお日様ががんがん当たっているのでとても暑い。

ルートにはしるしがつけてある。

小屋からの下りは、始めは急な岩場、その後川を渡る。

お花がたくさん咲いている。

氷河の舌端。

氷河とグランド・ジョラスが美しい。

ルート。

何度もグランド・ジョラスを振り返る。

花とグランド・ジョラスが見える。

進路方向のルート。

向かい側の山。

クールマイユールの谷と山並みが美しい。

梯子とロープがある。

雪解け水が流れている川が2本ある。片方の川の水量が多く、靴とズボンが濡れた。

歩きやすい道だ。

登れなかったがグランド・ジョラスは格好が良い。

最後はとてもきれいなお花の道を歩く。

駐車場まであと少し。

駐車場の手前の水のみ場で水を水筒に汲んで飲む。おいしかった。

プランパンシエールの駐車場の横はプレイランドで子供たちの楽しそうな声が聞こえてきた。

15時40分、プランパンシエールの駐車場に到着する。小屋から駐車場まで2時間40分かかった。
駐車場でビーコンをガイドに返す。登山から小屋に戻ったときにビーコンの電源を切るように指示されたので、そのときにガイドに返そうとしたが、彼は受け取らなかった。登山で使ったものだから駐車場まで自分で運びなさい。という哲学なのだろうか?

素敵なグランド・ジョラスさん、さようならー。ガイドの車でシャモニ[Chamonix]へ帰る。途中モンブラントンネルは渋滞していた。トンネルに入るまでに30分ほどかかった。渋滞の間、私はうとうとしていた。
明日は天気が悪いので明日の夕方18時にスネルスポーツでTADAの登山の打ち合わせを行うことに決まった。貸し別荘までガイドに送ってもらって宿に帰ると、TADAとかわいい子供たちが待っていてくれた。登頂出来なかったことを報告する。

靴を脱ぐと大きな靴擦れが出来ていてそれがつぶれて悲惨なことになっていた。
靴擦れが出来るようではグランド・ジョラスは登れないのではないか!事前のトレーニングが不足している。
パン、ハム、トマトの夕ご飯を食べてお風呂に入る。靴擦れが痛かった。みんなは9時に眠ったが、たぬは疲れているはずなのになぜか眠れず11時半まで他の人の登頂記録やガイドブックを読んでいた。

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