エンガディンとグラウビュンデン周辺鉄道旅行(2009年夏)

ザンクト・ガレン~世界遺産の修道院と旧市街(2009年8月 2日)

ラッパースヴィルから、フォア・アルペンエクスプレスで世界遺産の修道院のあるザンクト・ガレンへ行った。旧市街を歩き、世界遺産に指定されている大聖堂と修道院を見学した後、ケーブルカーで丘に上がった。

フォアアルペン・エクスプレス

ラッパースヴィル[Rapperswil]駅はホテルのすぐ近くにある。お腹が膨れたら、ザンクト・ガレン[St. Gallen]へ向けて出発だ。列車はフォアアルペン・エクスプレスというシーニックルートを走る名前付き急行だが、乗り込むときは時間がなくて写真をとれなかった。これは乗ってから横に留置してあった列車を撮っている。

列車はしばらくオーベルゼー(上チューリヒ湖)に沿って走る。湖の向こうにはグラールスアルプスの山並みが見える。チューリヒ湖[Zurichsee/406m]にもそろそろお別れだ。

Uznachの駅。ここを過ぎるとザンクト・ガレン[St. Gallen]州に入る。重厚でありながらかわいさもある素晴らしい駅舎だ。

ドイツが近くなってきたせいか、家並みがドイツ風になってきた気がする。

ヘリザウ駅到着直前に高さ99mのを通った。ここは鉄道写真によく登場する鉄道名所らしい。

10時。ザンクト・ガレン[St. Gallen]に到着した。ザンクトガレンはザンクト・ガレン[St. Gallen]州の州都。

私たちが乗車したフォアアルペンエクスプレス[Voralpen-Express]。とても素敵な列車であった。

ザンクト・ガレンの町

ザンクト・ガレン[St. Gallen]の町は駅前からすでに重厚な雰囲気だ。

ザンクト・ガレン[St. Gallen]駅舎も重厚な建物だ。

聖ロレンツォ教会が見える。

ガイドブックによると駅を背にどの小道を進んでも、ひとりでに旧市街に出るとのことなので、適当に狭い道を進む。

立派な建物の前に、豪華な噴水がある。

1992年にザンクト・ガレンは、毎年、スイス郷土保護団体が歴史的文化遺産を現代に上手く融合させた優れた景観を持つ市町村に贈る“ヴェッカー賞”を受賞した。

確かに、受賞するだけのことはある町だ。

どんどん進むと、通り沿いには出窓のある建物が増える。

スコットランドの修道士ガルスGallusが612年ににザンクトガレンに近いシュタイナッハ[Steinach]川のほとりに小さい修道所を構えた この修道所造りに苦労しているガルスにクマがまきを届け、ガルスがお礼にパンを与えたとの伝説がある。

ガルスの死後、修道所は衰えたが、8世紀初頭、ガルスの志を継ぐオトマールが現在の場所に修道院を建設した。 修道院を維持するために職人、農民が修道院の周りに移り住んだ。ガルスの名からヴィラ・ザンクト・ガリという集落が生まれ、これが現在のザンクト・ガレンの礎となった。これがザンクト・ガレンの歴史らしい。

修道院はのちにヨーロッパで最大のベネディクト派修道院に発展し、中世には学問の総本山としてその名をヨーロッパに知らしめた。私たちはその修道院図書館[Stiftsbibliothek]も見に行くつもりだ。
これはガルスにまきを与えたクマの絵かしら?

美味しそうなケーキ屋。

出窓がある建物が並ぶ。

豪華な出窓と看板

出窓の彫刻が楽しい。

修道院はまだ先だが、素敵な家並みに心が踊る。

路面電車が走っている。他にも連結トロリーバスや2階建てバスが走っている。スイスの公共交通機関は楽しいのだ。

何のお店か想像しながら看板を見るととても楽しい。

豪華な看板が多い。

出窓の装飾が豪華だ。

とても豊かな街であったことがよくわかる。

大聖堂へ

カフェでお茶を飲んでいる人は少ない。

聖ロレンツォ教会は大聖堂の北側にある。

教会の屋根が楽しい。

大聖堂の東側にあるコの字型の建物は旧修道院[Kloster-hof]で、大聖堂とともに世界遺産に登録されている。1000年の歴史を誇った修道院は1805年に閉鎖された。

わかりやすい看板。子供たちが「花火禁止!」と騒いでいる。

消火栓、大事な世界遺産を守っている。

じゃーん。世界遺産に登録されている、大聖堂。大きすぎてカメラに収めるためには遠くに離れなければならない。

大聖堂の建物には他を圧倒するような威厳が感じられる。この建物は1755年~1765年に改築されたものでスイスの代表的な後期バロック様式のものだ。

修道院図書館[Stiftsbibliothek]

時計。現在11時。午前中はミサが行われているため、観光客は大聖堂の中には入れない。先に修道院を見学することにする。

続々と観光客が訪れる。

修道院のある西側は工事が行われている。

修道院の南側に回り込み、修道院図書館に行く。内部は撮影禁止なので、写真では紹介できない。とても残念だが仕方がない。世界でもっとも美しい図書館としか思えないその内部はNHKのサイトを御覧ください。

図書館の入り口に掲げられたギリシャ語「プシヒス・イアトゥリオン」は、魂の病院を意味している。中世、教養がないことは心の病と考えられ、図書館はそれを癒す場所であった。

ザンクト・ガレンの修道院図書館[Stiftsbibliothek]の貴重な蔵書は、印刷技術が発明される前、8世紀から12世紀に修道士たちによって書き写された2000冊を超える写本を始め16万冊に上がる。約1650冊ものグーテンベルク時代の印刷本もその中に含まれる。写本は、神学だけでなく医学や天文学にも及び、ラテン語をドイツ語に翻訳した「ザンクト・ガレン写本」によって、欧州の学問は飛躍的に発展した。また、頭文字を絵画のように飾るイニシャル芸術は、ザンクト・ガレン修道院で一層豪華になった。

8世紀に立てられた修道院の図書館内部は、驚嘆に値する。まるで宝石箱のように美しい。たくさんの書物を手にとって生活している私たちでさえこれほど驚くのに、中世の人の驚きはいかばかりだったのだろうか。これらの書物に触れるために、修道士になる人が多かっただろうと想像する。

図書館内部はスイスでもっとも美しいと評されるロココ様式で、床は寄木造り、柱にも美しい細工が施されている。そこに美しい蔵書が天井までびっしりと詰め込まれている。本棚の装飾までも美しい。窓を開放しており、自然光が入っているだけだが、蔵書や建物が自ら光り輝いているように感じられる。

床を傷つけないように、ぬいぐるみのよう毛むくじゃらのスリッパを靴の上から履いて歩く。本だけでなくミイラまで展示されている。図書館内部の写真を撮ることはできないので、売店で図書館の写真をたくさん購入する。

大聖堂[Kathedrale]の内部

図書館を見学したあと、バロック様式の大聖堂の中に入る。わっ!あまりの内装の美しさに声を上げてしまった。

金箔がふんだんに使われた祭壇、天上いっぱいに描かれた装飾画など、内部の豪華さは目を奪われるほどだ。

修道院と付属の図書館は、同時期に同じ芸術家が手がけたもの。どちらも、素晴らしい。まさに芸術というに相応しい。

こんなに美しい大聖堂は初めて見る、と感じた。うまく写真が撮れていないが、パイプオルガンの大きさにも驚いた。

スポンサー